「お客様にとって、良い提案を行なっても、成約まで持っていけない。」このような悩みを持っている営業マンはとても多いと思います。
そのような方はセールストークの中で、”メリット”と”ベネフィット”の使い分けができていない可能性があります。
なぜならば、お客様を購買行動に動かすのは、”メリット”ではなく”ベネフィット”だからです。
そのため、お客様にサービスや商品を提案する際には”メリット”ではなく”ベネフィット”を提示する必要があるのです。
本記事では”メリット”と”ベネフィット”の違いを解説し、ベネフィットを活用したセールストーク実例を紹介します。
本記事を読むことで、”メリット”と”ベネフィット”の違いを理解することができ、お客様に伝わるセールストークを習得することができます。
メリットとベネフィットの違い
似たようなニュアンスを持つ、2つの言葉ですが、営業マンであれば違いを知って使い分ける必要があります。
なぜならば、お客様はメリットでは購買行動に移らないからです。成約を勝ち取るためには相手に合ったベネフィットを提示する必要があるのです。
それでは2つの違いを解説していきましょう。
メリットは特徴(強み)
みなさんが販売しようとしている商品・サービスの強みや、特徴のことをメリットと呼びます。
商品・サービスのスペックと言い換えることができます。
メリットの主語は顧客ではなく、商品やサービスとなる特徴があります。
- 「このワイヤレスイヤホンは○○です。」
- 「このパソコンは○○です。」
- 「この営業コンサルサービスは○○です。」など
ベネフィットは恩恵(利益)
みなさんが売ろうとしている商品やサービスを顧客が購入・契約した後に、顧客が得る恩恵(利益)をベネフィットと呼びます。
顧客の招来の利益と言い換えることができます。
ベネフィットの主語は商品やサービスではなく、顧客となる特徴があります。
- 「お客様が○○になります。」
メリット・ベネフィット具体例
商品 |
|
ベネフィット(主語は顧客) |
ワイヤレスイヤホン | 線をつながずに使用できる | 無線でありストレスなく音楽が聴ける |
パソコン | 処理スピードが早い | 作業が早く終わり自由時間が増える |
営業コンサルサービス | 商品が売れるようになる | 上司から怒られなくなる |
ベネフィットを伝える必要性
マーケティングの有名な入門書として「ドリルを売るには穴を売れ」という本があります。
この具体例を用いて解説をします。
「ドリルを買う顧客は、ドリルが欲しいわけではありません。」
ドリルで開けることができる穴が欲しくて、その手段としてドリルを選んでいるのです。
それでは、このドリルを買いに来た人に対する”メリット”と”ベネフィット”を使った具体的なセールストーク例を見てみましょう。
商品のメリットを使ったセールストーク
ドリルで開けることができる「穴」を欲しているお客様に対してあなたが、商品のメリット(強み・特徴)だけを伝えたらどうでしょうか?
「このドリルはパワーがすごいです」、「このドリルは充電式だから便利です」などがメリット(強み・特徴)にあたりますが、お客様が欲している「穴」の話は出てきません。
これが、売れないセールストークの典型的な例です。つまり商品を”メリット”で売ろうとしたら売れないということです。
顧客のベネフィットを使ったセールストーク
それでは、このケースで顧客の求める”ベネフィット”を伝えるセールストークを考えてみましょう。
そのためには、商品の”メリット”を顧客の”ベネフィット”に変換する必要があります。
メリット(主語はドリル) | ⇒⇒⇒ | ベネフィット(主語は顧客) |
パワーがすごい |
「だから」でつなげると |
・分厚い壁にも穴が開けられる |
充電式で便利 | ・電源を気にせずどこでにでも 穴を開けられる |
商品の、”メリット”を顧客の”ベネフィット”に変換できました。この”ベネフィット”をセールストークで顧客に伝える必要があるのです。
「パワーがすごい(メリット)ので、とてもきれいな穴を開けることができます(ベネフィット)。」や、「充電式なので(メリット)どこでも使えます(ベネフィット)。」といったトークになります。
注意:ベネフィットは顧客によって異なる
ここで、注意して欲しいことがあります。それは、顧客の求める”ベネフィット”は、みな同じではないということです。
ドリルの例であっても、顧客の求める穴が「分厚い壁に開けたい穴」なのか「電源のない屋外に開けたい穴」なのかによって、顧客の求める”ベネフィット”は異なるのです。
「分厚い壁に開けたい穴」を求めている顧客に対して、「充電式なのでどこでも使えます。」というセールストークをしても顧客に響かないのは当然ですよね。
このように間違ったセールストークをしてしまわないために、営業マンはヒアリングを実施し、顧客の求めるニーズ、顧客にあったベネフィットを把握する必要があるのです。
潜在ニーズを聞き出すのに有効なセールストークはこちらの記事で解説しています。
セールストーク具体例
ケース1 ワイヤレスイヤホン
ワイヤレスイヤホンの”メリット”、”ベネフィット”は以下のとおりです。
|
ベネフィット(主語は顧客) | |
ワイヤレスイヤホン | ・線をつながずに使用できる ・ロングバッテリー採用 ・ノイズキャンセル機能が |
・無線でありストレスなく音楽が聴ける ・長期移動も気にせず使用できる ・高い満足感を得られる |
ワイヤレスイヤホンを販売しようとする場合、顧客の使用シーンを把握することが、顧客の「買いたい」を引き出すことにつながりそうですね。
それでは、実際のヒアリングからプレゼンまでの流れを見てみましょう。
ワイヤアレスイヤホンをお探しですか?
そうなんですよ。今、使っているのが壊れちゃって。
それは大変ですね。普段どのような場面で使われるんですか?
電車で通学しているので、通学中がメインの使用ですね。
通学時間を有意義なものにするには良い使い方ですね。
電車で片道1時間半かかるので退屈なんですよね。
それなら、ある程度のバッテリー容量がないと心配ですね。
そうなんです。前に充電を忘れたことがあって使えなくてガッカリしたことがあったんです。
お客様にはこちらの商品がおすすめです。
ロングバッテリー採用(メリット)で、時間を気にせず使用できますよ(ベネフィット)。
ケース2 営業コンサルサービス
営業コンサルサービスの ”メリット”、”ベネフィット”は以下のとおりです。
商品 |
|
ベネフィット(主語は顧客) |
営業コンサルサービス | ・マンツーマン指導で理解を深めやすい ・年間指導実績3,000人 |
・同期や後輩に負けない営業成績を出せる ・上司に怒られなくなる |
営業コンサルサービスを販売しようとする場合、顧客が成果を出したい理由を把握することが、顧客の「申込したい買いたい」を引き出すことにつながりそうですね。
それでは、実際のヒアリングからプレゼンまでの流れを見てみましょう。
営業職になって3ヶ月だそうですがお仕事には慣れましたか?
いやぁ、なかなか成果が出なくてしんどいですよ。
営業で成果を出すのは大変ですよね。成果が上がらないと社内の雰囲気も悪くなったりしますしね。
私の上司は理解がある人で、今は勉強の時期だと言ってくれて助かってますよ。
それは素晴らしい上司ですね。それならあまりストレスなく、勉強できているんじゃないですか?
それが、上司はそう言ってくれてありがたいんですが、私と同じ時期に営業を始めた同期が結果を出しているのを見ると、精神的に追い詰められるんですよね。
同期が結果をだすと焦りにつながったりしますよね。
そうなんです。後輩が成果を上げ始めるともっときつくなりますね。
そんなお客様に、同期や後輩に負けない営業成績を引き出す(ベネフィット)ご提案があるですが、5分ほど説明させていただいてい良いですか?
5分だけなら是非、教えてください。
大まかなセールスの流れはこんな感じになります。
一番やってはいけないのは、お客様のベネフィットである、「同期や後輩に負けたくない」を引き出す前に、サービスのセールス(提案)をすることです。
お客様のベネフィットを引き出したあとに、そのために有効な手段としてサービスの提案をすることで、成約率の高いプレゼンテーションに移行できるのです。
まとめ
本記事では成約するためのセールストークに必要な”ベネフィット”と”メリット”の違いを解説しました。”メリット”とは商品やサービスのメリット・強みのことです。
商品の”メリット”を顧客に伝えたところで、お客様は購買行動に移りません。それは、顧客は”メリット”を求めていないからです。
顧客が求めているのは商品・サービスを購入したあとに得られる”ベネフィット”です。
顧客に合った”ベネフィット”をヒアリングにより把握し、”ベネフィット”に訴求することで成約率は大幅に向上します。
”ベネフィット”と”メリット”を明確に使い分けることで、上司に怒られない、同期・後輩に負けない営業成果を上げていきましょう。
営業で成果を出すための心理学については下記記事で紹介しています。
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