営業マンにとって「考えておきます」や「検討します」に対する切り返しトークは大きな武器となります。
また、お客様に対する商品提案の説得力を高めることは成約率を向上させる有効な手段です。
この切り返しトークや説得力を高める話法として有効なのが「第三者話法」です。
第三者話法を意識的に使用できるようになった担当者からは、「クロージングにおける最後の一押しができるようになった」や「お客様からの否定的な言葉に切り返しができるようになった」という声を耳にします。
そこで本記事では個人営業、法人営業を10年やってきた私が切り返しトークに有効な「第三者話法」について解説します。
第三者話法とは
お客様に対し商品やサービスの提案をする際に、他のお客様の意見・感想を交えて伝えることで、導入効果や商品メリットに説得力をもたせる話法です。
ネット通販を利用する際の口コミやレビューに近いものと考えればイメージしやすいかと思います。
ネット通販で物を買うときに商品紹介ページだけではなく、実際に購入した人の声として、口コミをチェックしますよね?
これは「売りたい」と思っている商品紹介ページには「どうせ良いことしか書いてない」ということを皆さんが分かっているからです。
一方で、売る側の主張ではなく第三者の意見は、利害関係のない第三者の言葉であることから「本音が聞ける」と思っているため信頼度が上がるのです。
これは営業マンのセールスにおいても同じことが言えます。お客様はあなたが話す内容が「商品を売るためのトーク」であることを分かっています。
ですので、セールストークの中に第三者の意見を加えることがより一層重要となるのです。
具体的話法例
それでは、第三者話法の具体的な話法をいくつかのケースごとに見ていきましょう。
肯定的な意見を受けて
機能が気に入っているので導入を検討しているんですが。
ありがとうございます。みなさん、そうおっしゃいます。
「検討させてください」に対して
品質については納得できたのですが、価格面が気になるんで少し検討させてください。
私が担当させていただいているお客様は、ビジネスに使用するものは価格よりも品質を重視して選ぶ方が多いですよ。
お客様の心配排除に
機能面も価格面も非常に満足な提案なんですが、使いこなせるか心配なんですよね。
先日導入されたお客様も、導入前は同じ心配をされていたんですか、一ヶ月も使えばサポートが必要ないほど、使い慣れたとの声をいただいております。
有効な理由はウィンザー効果
第三者話法が有効となる理由は、心理学の「ウィンザー効果」と呼ばれる反応によるものです。
ウィンザー効果とは、アーリーン・ロマノネスの「伯爵夫人はスパイ」という小説の「第三者の褒め言葉が一番効果がある」という台詞に由来しています。
利害関係のない第三者の言葉には目的がないことから言葉自体の信憑性が上がると考えられます。
一方で、利害関係のある人の言葉には目的(=営業の場合は物を売ること)があることから、「良い話しかしないのではないか」と疑って話を聞くため言葉の信憑性が下がるとされています。
人から褒められる際に本人から直接褒められるよりも、「○○さんが褒めてたよ」と第三者から言われた方が嬉しく感じるのも同様の効果です。
効果を高めるためのポイント
人は本能的にリスクを回避したいと考えています。これを「損失回避の法則」や「損失回避バイアス」といいます。
人は「得をする」ことよりも「損をしない」選択したいと本能的に考えています。
ですので、購入した人の意見として「お取引いただいた方から○○と喜ばれています」といった良い意見を伝えることも効果的ですが、購入しなかった(できなかった)人の「購入すればよかった」という意見を伝えるとにより「損失回避バイアス」を刺激することができます。
損失回避バイアスを意識した活用話法
提案内容は分かりました。ただ、今、特に困っているわけではないので考えておきます。
御社と同じように○○に課題を抱えながら、半年間改善を図らなかった結果、着手した時には、倍の費用が掛かることになって「あのときやっておけば良かった」と後悔される方も多いので早めの検討がおすすめです。
効果的に活用するためにすべきこと
アフターフォローにはヒントがいっぱい
第三者話法は、否定的な意見や肯定的な意見、お役様の心配ごとなど、全ての言葉を受けた際の返し言葉として活用できます。
第三者話法を活用するには、お客様のリアルな声を拾い集めてく必要があります。そのためには、お客様へのアフターフォローが重要となります。
第三者話法の多くは、実際に導入(購入)された方の言葉を伝える話法ですので、実際に導入されたお客様の感想や、導入後の問題点を把握し、お客様に寄り添うことが、次のお客様の獲得につながっていくのです。
人の経験も吸収することでトークの引き出し倍増
アフターフォローにより、リアルなお客様の声を収集することも重要ですが、それだけでは、自分のお客様の声しか聞くことができません。
ですので、第三者話法の引き出しを増やすためには自分のお客様だけではなく、他担当者のお客様の声も利用することをおすすめします。
所属するチーム内で、お客様のアフターフォロー結果の情報共有をするだけで、簡単に自分の話法を増やすことができます。
まとめ
切り返しや、説得力をアップさせるための「第三者話法」を解説しました。
第三者話法は、知っていれば誰でも簡単に行なうことができる割に、悩んでいるお客様や、不安を抱えているお客様に対しては有効な話法です。
今悩んでいるお客様に、少しだけ先を行くお客様のリアルな声を伝えることで解消される悩みや不安は多くあるのです。
第三者話法を活用するには、お客様のリアルな声を収集しておく必要があります。
そのためにはお客様へのアフターフォローが有効です。アフターフォローをすることで、お客様の満足度を高めつつ、次のお客様に使用する自分の話法のネタを探すことができるので一石二鳥です。
皆さんも意識して第三者話法を使用することで、説得力の向上、最後の一押しに活用して成約を高めましょう。
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