営業マンにとってコミュニケーション能力は重要な要素です。
特に営業マンのコミュニケーションで重要になるのは「相手の話を聴く」ことです。
それは相手の話の中から、お客様のニーズや課題を把握し、お客様にあったサービスや商品の提案を行なうことが営業の基本業務となるからです。
ですが、営業マンの多くは商品説明やサービス紹介といった、自分が話すことばかりに気を取られてしまいがちです。
本記事では知っているのと知らないのでは大きな差が出る、相手の話を聴くためのコミュニケーションである、アクティブリスニングと雑談力について解説します。
アクティブリスニング
コミュニケーションの基本は相手の話を聴くことです。
「聞く」ではなく「聴く」ことです。
「聞く」とは物理的な音を聞くこと。「聴く」とは相手の言っていることに興味を持って聴くことです。
質の高いコミュニケーションを図るには「聞く」を進化させて「聴く」を実践する必要があります。これをアクティブリスニングと言います。
アクティブリスニングとは
アクティブリスニングとはアメリカの臨床心理学者が1957年に提唱した「傾聴姿勢」です。
カウンセリングに活用できるコミュニケーション技法の一つであり、日本語では「積極的傾聴」と言われています。
営業の本質は「お客様の課題を解決する、お客様のニーズに応える」ことですので、カウンセリングにおけるコミュニケーションが活用できるのです。
アクティブリスニングの特徴は、相手との会話を通じて相手の感情や事実を主体的に把握することにあります。
相手の話を聞く(物理的な音を聞く)だけでは、言葉に隠されたお客様のニーズを見極めることができません。アクティブリスニングによって、お客様が抱える課題やニーズを把握することで、お客様に最適な提案が可能となるのです。
アクティブリスニングの実践方法
アクティブリスニングは大きく分けて2つに分類することができます。
バーバルコミュニケーション
相づち
相手の言葉をそのまま口にすることで、「あなたの話を聴いてます」、「あなたのことを理解しようとしています」という印象を与えることにつながります。
オープンクエスチョン
オープンクエスチョンとは、相手に自由に話しをしてもらうための質問方法です。
返答の範囲を限定しない質問をすることで、相手から多くの情報を引き出すのに有効なコミュニケーションです。
自由に話が聞きだせる一報で論点がブレる可能性が高いというデメリットもあるので、返答の自由度は保ちつつ、一定のコントロールをする必要があります。
要約して話す
聞いた話をあなたなりの解釈で言い換えて確認することも「あなたの話を聴いていますよ」「あなたの話を理解していますよ」というアピールとして有効です。
その際に更に効果を高めるのは共感、共有を持って話を言い換えることで「気が合う」、「意見が一致する」という感覚を与えることが可能となるので有効です。
ノンバーバルコミュニケーション
視線
商談相手とは極力視線を合わせるようにします。
視線を合わせると、心理的な距離が近づくと言われています。
相手に一番不信感を与えてしまうのは、あちこちに視線をそらすこと、ボーっと一点を見つめるなど、視線が合わない状態が続くときです。
聴く姿勢
相手の話しを聞く時には、あなたの姿勢も重要です。
人は積極的な気持ちになると無意識のうちに前屈みになります。アクティブリスニングでは、積極的に相手の話を聴く姿勢を示す必要があるので当然、前屈みである必要があります。
ただし、相手によっては前屈みすぎると、距離が近過ぎて「しんどい」と感じる相手もいますので注意が必要です。
そこで参考になるのが相手の姿勢です。
あなたが前屈みのときに、相手が仰け反る(のけぞる)ようであれば、距離を取りたいという意識の現われですので、少し距離を開ける必要があります。
表情
表情には人の感情が無意識的に現れます。
ですのでノンバーバルコミュニケーションの中でも、特に注意が必要になります。
相手の話の内容に合わせた表情をすることで、「話を聴いている」「理解しようとしている」を表現します。
・相手の本音を引き出すには「聞く」から「聴く」への変化が必要
・「聴く」ためにはアクティブリスニング(積極的傾聴)が必要
・アクティブリスニングは耳だけではなく、表情、視線、体、頭で「聴く」
雑談力
お客様からの信頼・信用を得るには、人として評価される必要があります。
能力や知識が優れていることも重要ですが、それよりも人としての相性も重要です。
アメリカの心理学者ザイアンスが唱えた、相手に自分を知ってもらうための法則では、以下のように言われています。
- 人は知らない人には攻撃的、批判的に対応する
- 人は会えば会うほど好感を持つ
- 人は人間的側面を知ったときに好意を持つ
そこで、あながたがお客様から好感を持たれる担当者となるために、雑談力が必要となるのです。
雑談力とは
雑談とはテーマを決めずに会話をすることであり、友人や家族との会話は、そのほとんどが雑談で成り立っています。
つまり、雑談とは相手を理解するための会話と言い換えることができます。
ビジネスの場面においては、上述のとおりお客様を理解すること、お客様から理解してもらうことも当然重要ですが、雑談力が重要な理由がもう一つあります。
それは、仕事におけるチャンスが増えることです。
取引先の代表者や担当者が、取引する相手(担当者)のことを、どのような人間か分からなければ、重要項目について相談をしにくいと感じられてしまいます。
仕事に対する価値観や性格などの「人となり」が分かっている担当者のほうが信頼できることから、お客様に自分を知ってもらうことはビジネスチャンスの増加に向けて重要な作業となります。
雑談方法のコツ
雑談力を高め、相手から信用される・信頼される担当者となるための原則は2つです。
- 相手が話したいことを聞く
- 相手が聞きたいことを話す
人は話したいことを話しているときいリラックスします。そして、人は聞きたくないことを聞かされているときに不快感を感じます。
これらの理由から、雑談力を高めるには相手が話したいことに対する質問をして、話をさせてあげること、相手が聞きたがっている話を率先して話してあげることです。
そのためには、相手のことを知る必要があります。相手の話したいこと、聞きたいことを知ったうえで雑談力を活用する必要があるからです。
ですので、「1.アクティブリスニング」によりお客様を知る⇒「2.雑談力」によりお客様に知ってもらう、という流れが重要となります。
雑談力の向上には「拡張話法」も有効です。誰でも感嘆5ステップをこちらの記事で解説しています。
「営業マンの雑談力を高める拡張話法とは!超簡単5ステップ 会話実例付きで誰にでも再現性あり」
コミュニケーション能力を高めるメリット
コミュニケーション能力を高めることは、あなたがお客様のことを知る能力が高まることを意味しています。
お客様のことを知ることは、お客様に最適な提案をすることにつながります。つまり、成約率の向上につながることになります。
加えて、お客様のことをよく知っていて、お客様に最適な提案を実施することができれば、お客様から信頼されることにもつながります。
お客様から信頼されていれば、お客様からの相談を受けることもあり、ビジネスチャンスの増加につながります。
このようにコミュニケーション能力を高めることは、成約率の向上、ビジネスチャンスの拡大、信頼構築によってあなたのビジネスライフにおいて好循環をもたらすのです。
まとめ
「できる営業マンが持っている交渉能力」と題して、2つのコミュニケーション方法と、コツを解説しました。
営業マンの業務は自社の商品を通じてお客様にメリットを与えることです。
そのためには、お客様の悩みを解決するための提案をする必要があります。
そのためには、お客様を知ることが重要です。
本記事では、このお客様を知る、自分を知ってもらうをという、営業活動をするうえで最重要となる項目を解説しました。
お客様との信頼関係構築にお役立てください。
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